動画編集で月10万円まで──「切り抜き量産」で消耗しないための順番
前回、8つの入口の中でいちばん最初の1円が近いのは動画編集だと書きました。今回はその続きです。
ただし、近いのは入口だけです。切り抜き動画を1本1,000円で受け続けて、時給に直すとアルバイト以下、という話はいくらでもあります。ここでは、そこに沈まないための順番を書きます。
なぜ動画編集は「最初の1円」が近いのか
理由は3つあります。
- 作業が分解されている。カット、テロップ、BGM。工程が細かく切り出されていて、その一部だけを外注する案件が多い
- 需要が供給を追い越している時期が長かった。YouTube、ショート動画、企業のSNS。作りたい人が増え続けている
- 成果物の良し悪しが分かりやすい。テンポが良いか、見やすいか。専門家でなくても判断できるので、発注のハードルが低い
だから、練習して数本のサンプルを作れば、1ヶ月〜3ヶ月で最初の報酬にたどり着く人が多い。ここは他の入口にない強みです。
それでも、多くの人が途中でやめる理由
やめる理由はほぼ1つです。単価が上がらないまま作業量だけ増えるから。
1本3時間かかる編集を5,000円で受ける。慣れて2時間になる。嬉しい。でも次の案件も5,000円で来る。件数を増やすしかない。気づくと1日中パソコンの前にいて、月の売上は10万円に届かない。
これは努力不足ではありません。最初に受けた仕事の種類が、その後の単価を決めているだけです。
月10万円までの4段階
第1段階:作れることを見せる(0〜1ヶ月)
ポートフォリオは3本で十分です。数より、誰向けの動画かがはっきりしていることのほうが効きます。「なんでも作れます」は「誰の役にも立ちません」と同じ意味になってしまいます。
おすすめは、実在するチャンネルを1つ決めて、そのチャンネルの既存動画を自分なりに編集し直すこと。同じ素材で比較できるので、腕の差がそのまま伝わります。
第2段階:最初の1件を取る(1〜2ヶ月)
クラウドソーシング、SNSのDM、知人の紹介。どれでも構いません。ここで大事なのは金額よりスピードです。1件目は実績を作るための投資だと割り切っていい。
ただし、1件目から必ずやってほしいことがあります。納品後に、その動画の再生数と視聴維持率を聞くことです。これが第3段階の材料になります。
第3段階:単価を上げる(2〜4ヶ月)
ここが分かれ目です。単価交渉は「経験が増えたので上げてください」では通りません。通るのは次の形です。
前回の動画、冒頭10秒の離脱が他の回より少なかったです。同じ構成をあと3本続けたいので、企画段階から入らせてもらえませんか。
作業の値上げではなく、仕事の範囲を広げる交渉にする。これができると単価は倍単位で変わります。
第4段階:継続契約にする(4ヶ月〜)
月10万円を「1本5,000円 × 20本」で作るのは、体力的に長続きしません。「月8本で8万円 + 企画同行2万円」のような形にできると、同じ金額でも生活が壊れません。
継続契約は、こちらから提案しないと生まれません。3本目あたりで月単位の提案書を出すのが現実的です。
単価が変わる分岐点は、いつも「構成」
カット編集は、うまい人がたくさんいます。テロップも同じです。差がつくのは、どの順番で見せるかを決められるかどうか。
「この動画、結論を最後に持ってきていますが、最初に出したほうが最後まで見られると思います」。これが言えるだけで、作業者から相談相手に変わります。数字の裏付けがあればなお強い。
ソフトの、現実的な話
| 向いている人 | 注意点 | |
|---|---|---|
| Adobe Premiere Pro | 案件で指定されることが多い/長く続ける前提の人 | 月額費用がかかる。PCの性能も要求される |
| DaVinci Resolve | 費用を抑えて始めたい人 | 無料版で実務は回るが、日本語の情報量はPremiereに劣る |
| CapCut など | ショート動画中心の人 | 商用利用の条件が変わることがあるので、都度確認が必要 |
どれを選んでも構いませんが、PCの性能だけはケチらないほうがいいです。書き出しに30分かかる環境だと、1日にできる本数がそのまま制限されます。ここは唯一、お金で時間を買える部分です。
やらなくていいこと
- 高額な講座に最初から申し込むこと(無料の解説だけで第2段階までは十分に行けます)
- エフェクトを覚え込むこと(案件で使う機会はほとんどありません)
- 安い案件を大量にこなして「経験を積む」こと(積まれるのは疲労です)
次回予告
次回はライティングです。8つの中でいちばん初期投資が小さく、そして他のどの領域にも効いてくる入口。未経験から最初の3ヶ月で何をやるべきかを、順番どおりに書きます。
あわせて読む:在宅で稼ぐ「入口」は8つある
応募の数字を、実測で見直す
ここに書いたことを、自分のクラウドソーシングの応募ログ1,134件で数え直しました。感覚ではなく実測だけの記事です。
提案が通らないとき、応募先を疑ったほうがいい1,022件を数えたら、案件のジャンルで契約率が3倍違いました。 安く提案しても、返信率は上がらなかった提示額666件。上限超えと上限以内で、返信率の差は0.2ポイントでした。 発注者は、どこを見て選べばいいのか737人分のプロフィール。評価スコアの中央値は4.94で、選別には使えません。 有料教材受注した案件のほうが、競合が多かった|応募ログ1,134件の全数集計集計に使った全データ、案件を落とす基準4つ、提案文の生成プロンプト、応募管理シートまで収録しています。