SNSで何を投稿すればいいか分からない、の正体──発信もイシューから始める
前回まで、クライアントの課題をどう設定するかを書いてきました。今回は同じことを自分の発信に向けます。
「SNSで何を投稿すればいいか分からない」という相談をよく受けます。これはネタ切れではありません。イシューが設定できていないだけです。
手が止まる本当の理由
投稿が思いつかないとき、頭の中はこうなっています。
「何か役に立つことを、誰かに向けて、そこそこの頻度で出さないといけない」
主語がありません。誰の、どの困りごとに答えるのかが決まっていないから、手が動かないのです。
逆に「フリーランス2年目で、単価が3万円から上がらない人」と決めた瞬間、書くことは山ほど出てきます。ネタは増えていません。問いが決まっただけです。
成果が出ないときは、どこで止まっているかを分解する
「SNSがうまくいかない」は、そのままでは手の打ちようがありません。粒度が大きすぎる悩みは、必ず分解してから扱ってください。
発信から成果までは、こう並んでいます。
- 投稿が表示される(リーチ)
- 表示された人が反応する(いいね・保存・プロフィール閲覧)
- 反応した人がリンクを踏む(LP流入)
- LPを見た人が申し込む(予約・登録)
4段あります。どこが詰まっているかで、打つ手は全部違います。ここを分けずに「もっと投稿しよう」とすると、詰まっていない段を増やす作業になります。第2話で書いた犬の道そのものです。
実際に自分のアカウントでやっている分解
いま立ち上げ中のアカウントで、実際に起きていることを書きます。うまくいっていない話なので、そのつもりで読んでください。
状況はこうでした。
- アカウントは新規。フォロワーはほぼゼロ
- 入口となるLPは公開済み。導線も繋がっている
- 申し込みはゼロ
ここで「LPが悪いのかもしれない」と考えるのが、一番よくある間違いです。4段のうち、まだ1段目が動いていません。
LPを見た人が申し込まないのではなく、そもそもLPまで人が来ていない。その前段として、投稿が表示されていない。だからこの時点でLPを直しても、変わる数字がありません。
イシューは「LPの改善」ではなく「リーチをゼロから作る」でした。やることは、LPの文言修正ではなく、投稿頻度と時間帯、そして同じ悩みを持つ人への能動的な接触です。
下の段から直したくなる誘惑
不思議なもので、人は一番下の段から直したがります。LPの見出し、ボタンの色、プロフィール文。手を入れやすくて、成果物が目に見えるからです。
でも上の段が動いていないとき、下の段の改善は効果を測れません。流入がゼロなら、CVRは計算すらできません。
デザイナーはここに引っかかりやすい。直せるものが目の前にあると、直すべきかを確認する前に直してしまいます。
投稿を仮説として出す
イシューが決まったら、投稿は仮説の検証になります。
- イシュー:単価が上がらない人は、何に一番困っているか
- 仮説:値上げの言い方が分からなくて止まっているのではないか
- 投稿:値上げを伝える文面をそのまま公開する
- 検証:保存数を見る(いいねではなく保存)
反応が薄ければ、仮説が外れています。投稿の出来ではなく、相手の困りごとの読み違いです。ここを取り違えると、デザインばかり凝って中身が変わらないという状態になります。
見る指標は、いいねより保存とプロフィール閲覧です。いいねは通りすがりでも押せますが、保存は「後で使う」という意思です。仕事につながるのは後者です。
まとめ
発信が続かない人は、意志が弱いのではありません。問いがないまま毎日答えを出そうとしているから、消耗します。
誰の、どの困りごとか。それを決めてから、4段のどこが詰まっているかを見る。この2つだけで、投稿の内容も頻度も自動的に決まります。
自己ブランディングというのは、格好いい見せ方の話ではありません。誰のどんな問いに答え続ける人なのかを、行動で示すことです。
次回予告|第9話「制作力ではなく、受注力で戦う」
次回は連載のまとめです。
制作力は独学で上がります。教材もチュートリアルも無料で手に入るので、市場ではすでに飽和しています。一方で受注力は、誰も体系立てて教えてくれません。だからこそ、そこに差が残っています。
イシュー・仮説・検証・解というフレームを、クライアントの案件ではなく自分のビジネスに回すとどうなるか。単価も、付き合うクライアントも、働く時間も変わります。その全体像を最後に整理します。