ノートパソコンで仕事をする女性

2件目の取り方と、単発を継続に変える方法

1件目が終わりました。納品して、お礼を言われて、報酬が振り込まれた。ここで多くの人が同じ壁にぶつかります。次の1件が、また最初からになる。

応募文を書いて、実績を貼って、返事を待つ。1件目とまったく同じ労力を、もう一度かける。これを10回くり返すと、10回とも初対面から始めることになります。前回は見積もりの出し方を扱いました。今回は、その見積もりをもう一度出さずに済む形へ持っていく話です。

1件目は運で取れる。2件目は設計しないと来ない

1件目は、こちらの事情で取れます。「安くていいので実績が欲しい」という理由が通用するのは最初の数件だけです。2件目からは相手の事情で選ばれます。相手の事情とは「またこの人に頼むと、自分の手間が減る」かどうか。技術の差ではありません。やりとりの手間の差です。

ここを勘違いすると、2件目を取るために新しいスキルを勉強しはじめます。そちらではありません。すでに終わった1件の中に、次の1件の入口があります。

納品したその日にやる3つのこと

  • 今回やったことを3行で書いて添える。「言われたとおりに直しました」ではなく「ここをこう変えました、理由はこれです」。相手は社内で説明する立場にいます。その説明文を代わりに書いてあげる。
  • 振り返りの日付をその場で置く。「2週間後に数字を見て、必要なら手を入れませんか」。この一言があるかどうかで、次の連絡が来るかが決まります。
  • 次にできることを1つだけ書く。3つ書くと売り込みになります。1つだと提案になります。

3つとも、納品ファイルを送るメールに数行足すだけです。追加の作業時間はほぼゼロで、ここを飛ばした人と続けた人では半年後の受注数がまるで変わります。

単発で終わる納品と、続く納品の違い

場面単発で終わる続く
納品の言葉ご確認をお願いします効いたかどうか、2週間後に一緒に見ませんか
渡すもの完成データだけ完成データと、変更した理由
次の話相手が思い出したらこちらから日付を置く
値段の根拠かかった作業量相手の目的にどう効いたか

右の列は、どれも技術ではありません。全部、送る文章の話です。

そのまま使える一文

本日納品しました。今回は「申込ボタンが下まで探さないと見つからない」点を優先して直しています。効果が出ているかは公開から2週間ほどで見えてくるので、そのころに数字を一度確認しませんか。もし動きが弱ければ、見出しの文言だけ差し替える案があります。

売り込んでいません。やったことと、見る日と、次の一手を書いただけです。この形だと相手は断る理由がなく、2週間後に連絡する口実がこちらに残ります。

継続に変えるときの値段

「毎月お願いしたい」と言われたときが、いちばん間違えやすい場面です。月額にした瞬間、範囲が決まっていないと時間を売る働き方に戻ります。月3万円で無制限に呼ばれる、という事故がここで起きます。

月額を決めるときは、必ず次の3つを文章で残してください。

  • 含むもの(例:月に制作3点まで、軽微な修正は無制限)
  • 含まないもの(例:新規ページの設計、撮影、他社ツールの操作代行)
  • やりとりの回数と場所(例:確認は月2回まで、連絡はチャットのみ)

この3つを書いておくと、範囲外の依頼が来たときに「できません」ではなく「それは別のお見積もりになります」と言えます。断らずに値段の話に変えられる、という点が大事です。

切られるときは切られる

継続契約は永遠ではありません。終わるときの理由は、腕の良し悪しよりも担当者の異動や予算の締め直しであることのほうが多い。自分のせいだと抱え込む必要はありませんが、1社に頼りきらないという結論だけは持っておいてください。継続が2社あると、1社終わっても生活は止まりません。

今日やること

直近で納品した相手を1人だけ思い出して、上の一文を送ってください。納品から時間がたっていても構いません。「その後どうなりましたか」で始めれば十分です。新しい応募文を10通書くより、こちらのほうが早く次の1件になります。

次回

第9話は実績の見せ方です。守秘義務でクライアント名も画面も出せない案件が続くと、手元に見せられるものが何も残りません。名前を出さずに、何をどう書けば伝わるのか。実績が「ある」のに「見せられない」人のための回にします。

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